257 幻のSL~国鉄C63形蒸気機関車~。

このSLは、国鉄が計画・設計したテンダー式蒸気機関車の一形式で、国鉄最後の制式蒸気機関車として計画されながら、昭和31年に設計図が完成したのみで、実際には製造が行われなかったSLで、未成車両となり、“幻のSL(蒸気機関車)”と呼ばれている。

〔計画の背景〕
「C63形蒸気機関車」が計画されたのは昭和30年頃のことであった。当時は財政難などで電化も遅々として進まず、また、気動車やディーゼル機関車の技術も未成熟であり、無煙化を着実に進めていける状況にはなかった。その一方で、現有機関車には老朽化が進んでいるものもあり、輸送需要増加と合わせて機関車不足を招くことになるため、手戻りではあるものの蒸気機関車の新製はやむを得ないとの判断が下されたのである。
〔構造〕
地方ローカル線での客貨両用目的での使用を前提として、主として老朽化が特に深刻化していたC51形蒸気機関車を置き換える目的で設計された。構造はC58形蒸気機関車をベースにしているが、できるだけC51形蒸気機関車に近い性能を得ることを目標とした。また、国鉄最後の新製蒸気機関車となるため、以下のような新設計を取り入れている。
○ボイラーを全溶接構造として圧力を従来の16kg/㎠から国鉄蒸気機関車最大の18kg/㎠に昇圧する。
○1軸従台車の台車枠をばね上装荷として乗り心地向上を図る。
○下方の一部を切り取った形状のデフレクターを採用し、従来の門鉄デフなどのようにランボードからアングル材のステーを突き出して支持する方式ではなく、ドイツで採用されたヴィッテ式と同様、煙室から支持部材を水平に突き出して固定する方式を採用。
○テンダ台車へのコイルバネやオイルダンパを新規採用。
○軸受は、動輪軸・先従輪軸も含めすべてローラーベアリングとする。ただし一部は戦後製のC59形・C61形・C62形と同様、動輪軸・先輪軸をプレーンベアリング、従輪軸と炭水車車輪軸をローラーベアリングとし、比較する。
〔製造中止〕
こうして昭和31年には設計図が完成し、まず試作車が製造されることになり、製造命令が下されるはずであった。ところが製造正式決定を前に、無煙化の進捗状況と機関車の需給が再検討され、現段階では蒸気機関車の製造が絶対必要とはいえないとの結論に達し、当分の間は製造を見送り、情勢を見守ることになった。そして、その後すぐ交流電化およびディーゼル機関車・気動車の技術が確立し、急速に電化・ディーゼル化が進むことになった。さらに、国鉄は昭和34年に〈動力近代化計画〉として、翌昭和35年の会計年度より蒸気機関車を15年(完了予定は昭和51年3月)で全廃する計画を立て、実行に踏み切った。これにより、蒸気機関車が不足する懸念は全くなくなったばかりでなく、国鉄が蒸気機関車廃止の方針に転換したため、ついに「C63形蒸気機関車」の製造決定が下されることはなかったのである。

●模型でのみ存在する幻の「C63形蒸気機関車」
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